サハリンでワンセグ遠距離受信調査結果②(2019年9月)

oneseg-d.hatenablog.com

 前回の続き.②では,サハリン・ユジノサハリンスクでの調査結果を記す.

 元のツイートはこちらから.

 

サハリン州ユジノサハリンスク

 日本統治時代は「豊原」と呼ばれ,樺太庁の庁舎が置かれていた.行政都市的性格を有し,ユジノサハリンスク市となった現在でもサハリン州の州都となっている.人口は20万人程度である.

 

 受信調査は,市内中心部から5㎞ほど離れた山の上にある展望台で行った.その名も「山の空気展望台」で,確かに碁盤の目のような市街地を新鮮な空気を吸いながら眺められる.山頂までは,300ルーブルを払えば麓からゴンドラですぐに辿り着ける.訪問時(9月)は,たくさんの市民が遊びに来て,非常ににぎやかだった.冬はスキー場に様変わりするという.

 

www.google.co.jp

 

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↑山頂にあるレストランのメニュー表.どれもおいしそう.

 

 早速,南方面に開けた地点で調査すると,北海道からの電波が次々に入ってきた.網走局は常時安定していたが,知駒局,北見局は不安定だった.

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↑放送局名および番組名は撮影できず.(電波の存在は確認)

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以上の結果を表にまとめた.

ユジノサハリンスク(山の空気)標高:600m

物理ch

放送局名

中継局名

出力[W]

距離[㎞]

14

TVH

網走

1k

348

16

STV札幌テレビ

網走

1k

348

20

HTB北海道テレビ

網走

1k

348

22

HBC北海道放送

網走

1k

348

23

NHKEテレ北見

網走

1k

348

24

UHB

網走

1k

348

25

TVH

北見

50

358

29

STV札幌テレビ

北見

50

358

34

UHB

知駒

100

227

39

HTB北海道テレビ

知駒

100

227

 

 いずれも200㎞超の「超」遠距離受信となった.調査は成功裡に終わったと言えるが,はたしてこれは常時受信できるのだろうか.すなわち,ラジオダクトの発生など時期によって受信可能性が左右される可能性は捨てきれない.

 ①でも述べたように,Radio Mobileのシミュレーションでは,サハリン島南部には電波が到達しているようである.ところが,内陸部にあるユジノサハリンスク市には微弱な電波すら届いていないことが示された.つまり,今回受信できた要因は季節性の異常伝播によるものと考えるのが妥当だろう.下の図は,受信調査当日のトロッポ予想図である.図によれば,サハリン島南部は強く発生すると予想されている.

 

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 ただ,常時受信可能かは,異なる時期に定期的に調査するべきであろう.コロナが明ければ,またサハリンに行きたいものである.